
株式会社サンエイテクニクス 代表取締役社長 寺尾洋太
2022年に東証スタンダードに上場している、 株式会社環境管理センターにグループイン譲渡企業
- 業種
- 設備工事事業・省エネ支援事業
- 売上規模
- 約8億円
- 譲渡理由
- 将来の後継者不在と成長に向けての経営基盤強化
譲受企業
- 業種
- 環境調査・分析・コンサルタント業
- 売上規模
- 約50億円
- 譲受理由
- シナジー実現による相互の企業価値向上
名古屋市で設備工事事業と省エネ支援事業を展開している株式会社サンエイテクニクスは、2022年3月に東証スタンダードに上場している環境調査・分析・コンサルタント事業を展開している株式会社環境管理センターと資本提携をしてグループ会社になりました。
資本提携もM&Aの一つですが、サンエイテクニクスの寺尾社長に、今回の資本提携の背景について伺いました。
会社を売るだけがM&Aではない 資本提携という選択肢も
Q.環境管理センターと資本提携をされた背景をお聞かせいただけますか?
サンエイテクニクスは1968年に父が創業し、2009年に私が代表取締役社長に就任しました。就任以来、100年続く会社を目指して、会社の成長のために尽力してきましたが、私の後継者がおらず、後継者不在問題と中小企業の株式承継の難しさに直面していました。 従業員のためにも会社を存続させたいという強い思いもあり、最初は第三者に会社を売却することを検討し、大手M&A仲介会社に相談をしました。ところが、従業員の待遇や顧客との信頼関係の維持を望む私の思いが十分に伝わらなかったように感じ、短期間での成立を優先させるように見える姿勢に違和感を抱いてしまったため、M&Aアドバイザリー会社のアドバンストアイに改めて相談をしました。 アドバンストアイの担当者と幾度となく話し合いを重ねた結果、私がまだ経営を引退する年齢ではないこと、そして会社の成長のためにやりたいことが多くあることを考慮し、全株式の売却ではなく、一部株式の譲渡による資本提携を選択しました。この結果、環境管理センターとの資本提携に至りました。 後日、候補先企業の選定プロセスについて詳細を伺ったところ、水面下で複数の上場企業や様々な経営者と接触を行う一方、アドバンストアイが開発したBizrelayのAI企業検索システムを活用して広範囲な調査を実施、候補先企業を慎重にリストアップして、最終的に絞り込みを行ったことを伺いました。 M&Aを検討していた当初は、上場企業のグループに入ることなど考えてもいなかったので、私にとって環境管理センターとの資本提携は予想外の展開でした。
売却か、それとも資本提携か 会社の未来を大きく左右する企業選定
Q.資本提携先企業で重視した点をお聞かせいただけますか?
会社の売り手側にとって、M&Aとは全株式を売却するというイメージがありましたが、アドバンストアイとの相談を通して、一部株式の売却による資本提携もM&Aの一形態であることを知りました。環境管理センターとの資本提携は予想外の展開でしたが、トップ面談を重ねるうちに、両社の企業理念や事業方針に共通点が多いことに気づきました。とくに、環境技術への取組みや持続可能な社会への貢献という面で、強い親和性を感じました。 また、上場企業のグループの一員となることで得られる信用力や経営リソースの活用が、当社の成長戦略にとって大きなメリットになると思いました。さらに、環境管理センターが当社の経営の自主性を尊重し、これまで培ってきた企業風土や従業員の雇用を守る姿勢を示してくれたことも、私の決断を後押ししました。 今回の資本提携により、より広い視点から事業展開を図れると同時に、当社の強みを活かしつつ、新たな成長機会を追求できると期待しています。また、従業員にとっても上場企業のグループの一員として安心して働ける環境をつくることができたと考えています。今回の資本提携は、当社の未来に大きな可能性をもたらす最適な選択であったと確信しています。上場企業のグループに入ったことで、 会社も従業員も大きな成長を実感
Q.資本提携後に感じたシナジー効果はありますか?
資本提携をしてから約2年が経ちますが、まず感じたことは、技術やノウハウを共有することで、お互いの強みを活かし、シナジー効果を生みだせていることです。また、上場企業のグループということで、パートナー企業や顧客が安心して仕事を依頼できるという側面もあります。 従業員の人材交流もさせていただき、新たな視点や専門知識を獲得することができ、従業員の意識向上、そして成長にもつながっています。技術やノウハウの共有、信用力の向上、従業員のモチベーションアップと、多くのシナジー効果を実感しています。 M&Aを検討した当初は紆余曲折ありましたが、資本提携という選択肢を得たことで、後継者不在や中小企業の株式承継の問題を解決することができたほかにも、会社の成長を実現することができました。M&Aは単なる企業の売買なのではなく、現在抱えている問題の解決、そして、お互いの強みを活かして、新たな価値を創出する手段であることを学びました。 違和感を抱いたまま別のアドバイザーと進めていたら、どのような未来になっていたのか。適切な相手先企業の選定がどれだけ重要で、そして選ぶ企業によって、全く違う未来をもたらすことを実感しました。今後も両社の関係を深め、さらなるシナジー効果の創出をして、100年続く企業を目指していきたいと考えています。