イースタン・カーライナー株式会社

イースタン・カーライナー株式会社
代表取締役副社長 高山浩司

平成21年ECL入社。執行役員経理部長を経たのち、
令和4年6月に代表取締役副社長に就任。

譲渡企業

業種
自転車部品の輸入販売
売上規模
5億~10億
譲渡理由
後継者不在
事業成長

譲受企業

業種
海運業
売上規模
844億9,500万円
(2023年3月決算)
譲受理由
事業拡大

自動車船や在来船・多目的船による海上輸送サービスを提供するイースタン・カーライナー株式会社(以下「ECL」)は、2022年に自転車部品の輸入販売を手掛けるトライスポーツ(旧ティー・エヌ・インターナショナル)を100%子会社化しました。

海運業と自転車部品の輸入販売という異業種のM&Aで、AI企業検索システムをどのように活用したのか、ECLの高山副社長に買収の背景を伺いました。

海運業と自転車部品の輸入販売
AI企業検索システムで実現した異業種M&A

Q.異業種M&Aの経緯をお聞かせいただけますか?

ECLの主力事業である海運業界は、市況の変動が大きく、収益が振れやすい業界になります。これまでのグループ会社は、全て海運関連企業だったため、海運業界の景気循環リスクを分散して、グループ全体の業績を安定化させることが課題でした。そのため、海運業界とシナジー効果が期待できる異業種との事業展開を模索していました。

一般的なM&Aは、同業他社の買収が中心ですが、当初から異業種との事業展開を考えていたためAI企業検索システムを活用して、幅広い業種から買収候補を探しました。その結果、自転車部品の輸入販売企業を買収候補として選定し、最終的に合意に至りました。

海運業と自転車部品の輸入販売は、一見すると関係性が薄いように思われるかもしれません。しかし、自転車部品の輸入に伴う貿易業務は、海運業に携わるECLの従業員の経験やスキルを活かすことができ、相乗効果を生みだせると判断しました。AI企業検索システムを活用したことで、思いつくことがなかった候補先を見つけることができました。

イースタン・カーライナー株式会社

戦略的M&Aで重要なのは、
企業選定と事業シナジーを見出す力

Q.M&Aでは、どんなことを重要視されていますか?

これまでECLグループとして、いくつかのM&Aを手掛けてきましたが、我々がM&Aで最も重視しているのが、買収後の事業シナジーの創出になります。単純に規模拡大を目的とするのではなく、買収先の企業がグループに加わった後、どのようにシナジー効果を発揮し、そして事業の多角化につなげることができるのかを入念に検討しています。そのためには、まずはシナジー効果を期待することができる適切な買収候補を選定することが不可欠だと思っています。

今回の自転車部品の輸入販売会社においては、以下の3点が決め手となりました。

まずひとつは、仕入れ面でECLと連携ができることです。多くの自転車部品を海外から調達しているので、ECLの海外部門と連携することで、調達コストの削減を見込むことができました。

ふたつめに高い商品開発力を持っていること。輸入販売に加えて、自社のオリジナルブランドも展開しており、消費者の認知度も高く、さらなる売上拡大を期待することができました。また、この商品開発力はECLにはない部分でもあったので、その点においても魅力的に感じました。

最後に人材の有効活用ができることです。ECLで定年退職した従業員で、継続して働く意思がある場合、買収先企業で再雇用契約することで、従業員のスキルを活かしながら、多様な働き方を支援する枠組みを構築することができると判断しました。

ECLグループに加わってから約2年経過しましたが、当初の想定通り進んでいるので、M&Aで重要なのは、ECLの強みを活かすことができ、シナジー効果のある企業選定だと実感しています。

M&Aを成功させるためには
幅広い選択肢から適切な企業を選定することが大切

Q.異なる企業文化の組織がグループに加わるとき、うまく統合できず失敗したという事例もききますが、ECLでは統合後、どのようなことを行っていますか?

ECLでは、希望するECL従業員を買収先に出向させ、現場主導で経営統合を積極的に進めることで、統合後のスムーズな事業展開を実現しています。

例えば、今回の場合は、買収先の管理部門に課題があることをデューデリジェンスの段階で把握していました。そのため、買収直後からECLと同様の管理体制を構築し、適切な収支管理を可能にしました。その結果、買収直後から黒字経営が実現し、当初の期待通りのシナジー効果が現れています。ECLのノウハウを買収会社と共有することで、事業価値も向上し、M&A本来の目的を達成できたと評価しています。

今回の異業種企業とのM&Aが成功した要因の一つは、間違いなくAI企業検索システムを活用して、幅広い選択肢から適切な買収候補を選定できたことだと思っています。今後もAI企業検索システムを活用しながら、主力事業にとらわれず、時代の変化に柔軟に対応するため、事業多角化によるリスク分散と既存事業とのシナジー効果を両立させ、さらなる経営基盤強化に取り組んでいきたいと考えています。